ジャニーズ外部専門家による再発防止特別チーム記者会見について

拝啓 残暑も厳しく続く中ではございますが、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

さて、本日(8月29日16時~)行われたジャニーズの再発防止特別チームによる記者会見について当ジャニーズ性加害問題当事者の会を代表して私、平本淳也から感想を述べ記したく、ここにご通知申し上げます。

特別チームの会見を拝見(オンライン)させて頂く前に届いた「外部専門家による再発防止特別チーム」【調査報告書(公表版)】と【調査報告書(概要版)】の書面も入手して拝読させて頂きました。

まず率直に申し上げますと、期待していた以上の調査結果であり、書面の内容も会見の言葉にも迷いがなく提言されたことに少しばかりか驚きもありましたが、同時に当会としては「この結果は」当然の如くであるとも感じました。

かねてから「性加害が事実である」という前提的な見解から開始された特別チームの調査において、当会が求めている「認める」こと、つまり「性加害の認定」が実効的な提言としてここに記されたことは大きな成果であるとして、私たちの悲痛なる告白がそのまま反映されたものだと素直に受け止められます。

半世紀以上という、とてつもない長い期間に多くの被害者を生んでしまった史上最悪な事件として位置付けている当会としての訴えは、その旨が特別チームでは疑うことなくそのまま認められたことにおいて真摯なる対応の結果と見ています。会見でも仰っておりましたが証明や証拠がない状況下において非常に難しい判断であったと思われますが、これを疑うことなく「被害者に寄り添った」感覚的な印象では、実際にヒアリングを受けた私たちにとっては有難くも感じられます。

そして、故ジャニー氏の性加害において、故メリー氏は認識していたこと、そしてジュリー社長ならびに白波瀬副社長が認識できる環境にいながらも調査せず放置していたこと、これについては加担と隠蔽の責任も追及される証明の一端とも成り得ることであり、これも当会が掲げてきた解明すべき問題のひとつとして、そこにも踏み込んだ意図が見られたことも汲み取って頂けたと感じました。

ただし責任の所在については当会として疑念が残るものとなります。代表取締役であるジュリー氏には辞任をすべきとし、そして同じ代表取締役の肩書をもつ白波瀬氏においては触れられていない、または提言として求めていないことは不可解に感じるところです。その理由も述べられておりましたが、すべてを知り尽くしている白波瀬氏の責任は最も大きいと私たちは認識しています。

また、これらの提言を受けたジャニーズ事務所がどのように受け止め、そしていかなる姿勢で取り組むのか、この場ではまだ何も分かりませんが、この提言を受け止めたうえで真摯なる対応を望むところにございます。ひとつ希望として言いたいことは、ジュリー氏の辞任は求めていませんし、それは歓迎できません。

再発防止における必要性として同族経営の廃止に伴いジュリー氏の辞任が妥当とされていますが、私たちは「これらの問題を知っていた」現トップ経営者が担う重き職責だとこれまでも求めてきましたがゆえ、辞任して責任から逃れることは許しがたいと思っています。

ジュリー氏はジャニーズ事務所を含むすべての資産を引き継いだ唯一の方です。莫大な遺産の中には本件問題である性加害という「負債」も含まれています。すべてを継いだ方がその責任を担って全うすることを当然として、またすべてを見てきた生き証人である白波瀬氏にも同じく辞任とは異なる責任の取り方を求めていきたいと考えています。

本会見で最も重要視されることはまず「事実認定」であり、それは求めてきた通りストレートに評価されますが、次の重要性は認めて「謝罪する」がゆえ、この旨と合わせて「救済」「補償」についても「直ちに」と強く提言されたことで期待ある未来が垣間見られることに希望が持てた時間であったことには違いはありません。

認定された上で謝罪から始まる本件問題の再スタートに「被害者の救済と補償」がございます。これについてはジャニーズ事務所が検討することであり、今回の提言を受けた上でどのように向き合って頂けるのか今後の課題として当会は求めていきながらもジャニーズ事務所からの誠意なる連絡を待つことと致します。

ただし提言を受けたとしても「一方的」な提案では簡単に受け入れることも難しいかと想像できます。これについて私は特別チーム宛にも、またジャニーズ事務所宛にも既に「提案」(救済案)しておりますがゆえ、願わくば加害側と被害側が共に携われる被害者への救済と補償の「制度」を恒久的な取り組みとして実行して頂きたく願っております。

最後に、資料の「結語」にある一文、「人権は何より優先される必要がある。(中略)ジャニーズ事務所が率先して積極的にエンターテインメント業界全体を変えていくという姿勢で臨んでほしい。(中略)自ら先頭に立って日本のエンターテインメント業界を変えていく役割を果たすことを期待するものである。」と、これは、ほぼそのまま私のメッセージでもあります。ほかにも多くの部分で当会が望むメッセージが織り込まれておりました。

影響力が大きいトップ企業が自らの罪を認め、そして被害者の救済や補償のための構築と芸能界全体に及ぶ問題として、この再発防止にも強気姿勢で先頭に立ち、私たち被害者と、まだ見ぬ被害者のすべてを救えるよう画期的なる方法と手段を講じて頂きたいと願うばかりです。

先に戻りますが、今回の特別チームのヒアリングについては、当会では私を含み三名(平本淳也、石丸志門、二本樹顕理)が調査協力として参加させて頂きました。いずれも丁寧な対応で、なおかつ事前にもしっかり勉強されていた様子も伺え、その姿勢においては何ら文句の出所はございませんでした。むしろ専門家として真摯に向き合って頂けたことに感謝の気持ちもございますがゆえ、その調査結果としては思うところの期待以上であったと評価させて頂きたく存じます。

以上、特別チームの会見を受けての感想となりますが、本通知より先に映像メディア(テレビ)はリアルタイムで当会副代表の石丸志門と二本樹顕理が放送現場にてコメントを発信しておりますので、そちらも参考にしてくださいますようお願い申し上げます。

なお、個別取材におかれましては、時間が許される限り引き続き対応させて頂決ます。

今後とも弊会の活動をお見守りくださいますようをお願い申し上げます。
まずは略儀ながら、本書にてご通知申し上げます。

敬具

ジャニーズ性加害問題当事者の会
代表 平本淳也


追記:私事ではありますが、三十余年の長きに渡る訴えがこのような形で「認められる」とは夢にも思っていませんでした。BBCという黒船に乗り、渡った先の港にはこれまで動かなかったメディアの皆様が待っててくれました。そのメディアの皆様の責任も追及されることとなるかも知れませんが、私は今とても有難く思っています。この場を借りて感謝を申し上げます。ありがとうございます。